公開日:2025/8/29
労働者数が増えてきている、もしくは、労働者の健康管理・支援を強化したい企業は産業医選任に関心事と思います。
産業医を初めて探す、選任する際に知っておいた方が良い主なポイントを解説します。
目次 |
1 産業医の選任基準
2 嘱託産業医と専属産業医
3 嘱託産業医の探し方
① 人材仲介会社(産業医紹介会社)
② 労働衛生機関
③ 産業医科大学
④ 市町村区医師会、近隣の医療機関
⑤ 産業医事務所・労働衛生コンサルタント事務所
4 産業医契約の方法
5 まとめ
1 産業医の選任基準 |
選任する産業医の人数や種類(嘱託/専属)は、事業場の労働者数や業務内容等によって定められています。(労働安全衛生法第13条第1項、労働安全衛生規則第13条第1項)
具体的な選任人数は、以下の通りです。
労働者数 |
1~49人 |
50~999人 |
1000~3000人 |
3001人以上 |
産業医の 選任義務 |
選任義務なし (医師等による健康管理等の努力義務) |
1名以上 |
1名以上 (専属) |
2名以上 (専属) |
事業場の労働者数が50人以上であれば嘱託産業医の選任が必要です。事業場の労働者数が1000人以上または、法定の有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、その事業場に専属の産業医を選任しなければなりません。
対象となる労働者数には、正社員だけでなく契約社員や、派遣、パート、アルバイトも含まれます。
※「事業場」とは?
労働事務次官通達(昭和47年9月18日発基第91号)では「工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において相関連する組織のもとに継続的に行なわれる作業の一体」と示されています。同じ場所で関連する組織的な作業をする場所の単位。同じ会社であっても、支店、支社、店舗ごとに1事業場となります。
※法定の有害業務とは?
労働安全衛生規則第13条第1項で示されています。
筆者が訪問する事業場では、深夜業に従事する労働者の方が一番多いです。
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲びよう打機等の使用によって、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒ひ素、黄りん、弗ふつ化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によって汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務
産業医選任の基準とともにメリット、費用について知りたい方は、以下の当事務所ホームページ内のトピックスで紹介していますので、是非ご覧ください。
「産業医の選任:法的基準、メリット、費用について」 | 未来労働衛生コンサルタント事務所|名古屋市瑞穂区の産業医・労働衛生コンサルタント
2 嘱託産業医と専属産業医 |
勤務形態、訪問・活動頻度、兼務の観点から嘱託産業医、専属産業医について解説します。
- 嘱託産業医
<勤務形態>
非常勤。常時事業場にはいない。
<訪問・活動頻度>
嘱託産業医は月1回から数回、1回あたり数時間程度、事業場へ訪問し、活動します。
ひと月に訪問する回数や時間は契約により異なります。
<兼務>
嘱託産業医は、他の事業場の産業医と兼任できます。
- 専属産業医
<勤務形態>
常勤。多くの専属産業医は事業場に所属し、週3~5回事業場にいることが多い。
<訪問・活動頻度>
週3~5回など常勤日数は契約によって異なります。
<兼務>
専ら、一つの企業・事業場での産業医活動を行うことが多い。一定の条件のもと、事業場の嘱託産業医を兼務することも可能。
3 嘱託産業医の探し方 |
嘱託産業医を探すための代表的な方法をご紹介します。それぞれのメリット、デメリットがあるため、事業場の事情に合わせて検討してください。
- 人材仲介会社(産業医紹介会社)
多数の産業医紹介会社が存在します。登録している産業医の数が多く、希望に合わせて産業医の選定を一任できる可能性があります。一方で、紹介会社によって紹介できる産業医の質にバラつきがある可能性あること、直接契約ができないことは知っておきたい点です。
- 労働衛生機関
いわゆる健康診断機関です。主に健康診断を行っており、産業医、産業保健サービスを行っていることもあります。健康診断、産業医業務をワンストップで実施できます。一方で、産業医、産業保健サービスは副事業であることがほとんどで、紹介できる産業医の量や質が担保されていない場合があります。
- 産業医科大学
産業医の育成を主な目的に設立された産業医科大学では産業医の紹介や相談を受け付けています。
また今回紹介している嘱託産業医とは異なりますが同じ産業医科大学のラマティーサイトでは専属産業医の紹介を行っています。
産業医科大学の強いネットワークから産業医を専門とする経験豊富な医師を紹介してもらえる可能性があります。
- 市町村区医師会、近隣の医療機関
各地域には医師会が存在し、医師会が産業医の紹介を行っている場合があります。例として、名古屋市医師会の嘱託産業医紹介事業のページを紹介します。
https://ishikai.nagoya/topics/occupational-physician.php
主にクリニックや病院で勤務している医師が所属しており、その広いネットワーク、地域の事情を知っていることが強みです。また、紹介会社に比べて費用を抑えることができる可能性があります。一方で、日常診療の合間に事業場訪問となることも少なくなく、まとまった時間での訪問を希望される場合には事前によく協議してから契約されることをお勧めします。
- 産業医事務所・労働衛生コンサルタント事務所
産業医事務所、労働衛生コンサルタント事務所を開設する産業医が増えてきています。
日本産業衛生学会認定産業衛生専門医や労働衛生コンサルタントなど産業衛生・労働衛生関連の資格を有している産業医が事務所を開設していることも多く、専門性の高いサービスを受けることができる可能性があります。産業医と契約内容について直接協議できるため、臨時の訪問やリモート面談の可否などについても丁寧に相談に応じてもらえる可能性があります。また、紹介料や中間マージンを考えるとおそらく最も企業側のコストが少なく産業医契約に至る可能性があります。一方で、事前情報がない中で産業医の力量を知ることも難しいこともあるため、上記で紹介した産業衛生・労働衛生関連の資格を有しているか確認することや、同じ業界での人的コネクションを活用したり、他の事業場の産業医から実務に長けている産業医を紹介してもらうと良いです。
4 産業医契約の方法 |
事業場の雇用としての産業医契約でも業務委託契約であっても可能ですが、嘱託産業医においては業務委託契約とすることが多いです。前項(3 嘱託産業医の探し方)の①の場合、紹介会社経由での契約となり、直接契約とはなりません。②の場合、労働衛生機関との契約、もしくは、産業医と直接契約両方の可能性があります。③〜⑤の場合は、産業医との直接契約が基本となりますが、大規模な医療機関や産業医事務所・労働衛生コンサルタント事務所の場合は、産業医個人との契約とならない可能性もあります。
5 まとめ |
- 事業場の労働者が50人以上となった場合は、産業医の選任が必要となる。
- 嘱託産業医を探す方法は多くあり、それぞれメリット、デメリットがあるため、事業場の事情に合わせて検討する。
- 産業医事務所・労働衛生コンサルタント事務所では、専門性の高い産業医と契約できる可能性がある。
当事務所は、事業場の現状、要望を聞きながら、親切、丁寧に対応します。
産業医選任、業務委託などでお困りの企業様は、お気軽にお問い合わせください。