メンタルヘルスケアにおける産業医の役割|未来労働衛生コンサルタント事務所|名古屋市瑞穂区の産業医・労働衛生コンサルタント

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メンタルヘルスケアにおける産業医の役割

近年、従業員のメンタルヘルスケアに悩む事業場が多くあります。メンタルヘルスケアは、従業員の心の健康を守り、生産性の低下や従業員の離職を防ぐための重要な取り組みです。メンタルヘルスケアにおいて重要な役割を果たすのが、産業医です。今回は、メンタルヘルスケアにおける産業医の役割について解説します。

  目次

1. メンタルヘルスと職場環境の関係

2. 産業医とは?その役割とは?

  2-1. 産業医の基本的な役割

  2-2. 産業医が行うメンタルヘルスケアの具体的内容

3. 産業医によるメンタルヘルスケアの重要性

4. まとめ

 1. メンタルヘルスと職場環境の関係

2022年に行なわれた厚生労働省の調査(令和4年労働安全衛生調査(実態調査))によると、「仕事や職業生活に関することで、強いストレスになっていると感じる事柄がある」と答えた労働者の割合は82.2%、「メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業した労働者又は退職した労働者」(令和3年11月1日から令和4年10月31日までの期間)のいた事業所の割合は13.3%といずれも前年より増加していました。また、令和4年の精神障害の労働災害請求件数は2,683件と増加傾向でした。職場環境ストレスが引き金となってメンタルヘルス不調になるケースもあるため、事業場は産業医と連携して従業員のメンタルヘルスケアに注力する必要があります。

 2. 産業医とは?その役割とは?


 2-1. 産業医の基本的な役割

産業医は、職場において従業員の安全や健康を守るために専門的観点から事業場に指導や助言などを行います。産業医の役割は、労働安全衛生規則第14条において、以下のように規定されています。

①健康診断の実施とその結果に基づく措置

②長時間労働者に対する面接指導・その結果に基づく措置

③ストレスチェックとストレスチェックにおける高ストレス者への面接指導その結果に基づく措置

④作業環境の維持管理

⑤作業管理

⑥上記以外の労働者の健康管理

⑦健康教育、健康相談、労働者の健康の保持増進のための措置

⑧衛生教育

⑨労働者の健康障害の原因の調査、再発防止のための措置

上記の産業医の活動の中でメンタルヘルスケアにつながるものも多くあります。

 

 2-2. 産業医が行うメンタルヘルスケアの具体的な内容

産業医が行う主なメンタルヘルスケアを以下に示します。

<従業員との面談>

面談を通して従業員の心身の健康状態を把握し、良好な状態に保てるようにアドバイスします。従業員の希望による面談、長時間労働を行った従業員との面談、病気によって休業・休職している従業員との面談などさまざまです。

<管理職・人事担当者との面談>

メンタルヘルスの不調は本人も気づかないうちに進行することもあるため、管理職も含めた身近にいる人が変化に気づくことで早期発見・早期対応することが大切です。従業員の変化に気づいた管理者から部下についての相談対応する面談があります。また、従業員との面談後、従業員のプライバシー保護に十分配慮した上で従業員の状態を管理者や人事担当者に報告、必要な就業上配慮について検討します。

<集団に対する支援活動>

メンタルヘルスについての健康教育、ストレスチェックによる職業性ストレス要因の評価、職場環境の改善についてのアドバイスなども行います。

産業医活動をする中での所感として、メンタルヘルス不調を抱える従業員への対応(従業員との面談)を職場から求められることが多いですが、最近は人事担当者や管理監督者が精神疾患を有する、または、メンタルヘルス不調かもしれない部下へ対応する場合の助言を求められることも多くなってきています。また、ストレスチェック制度で努力義務となっているストレスチェック集団分析結果の見方について解説し、結果に基づく効果的な対策を提案することもあります。

 

 3. 産業医によるメンタルヘルスケアの重要性

適切なタイミングで産業医面談を実施することで、メンタルヘルス不調者を早期発見し、適切な対応を実施できるため、産業医によるメンタルヘルスケアは重要です。

産業医は事業者側でもなく労働者側でもなく中立的な立場であるため、産業医面談は従業員が安心して話ができ、悩みを打ち明けることができる場となり得ます。実際の産業医面談において、「上司や家族には言いづらいんですけど・・・」という言葉とともに現状を話し、相談される従業員もいます。

話を聴いてもらえたことで楽になる、自身のセルフケア方法や働き方を見つめ直すきっかけとなるなどよい効果をもたらします。従業員が産業医に相談しやすいよう、産業医の業務内容、産業医面談の申出方法を従業員に周知しましょう。

 

 4. まとめ

 

  • 仕事や職業生活に関するストレスを抱える労働者は増加している社会背景もあり、事業場において従業員のメンタルヘルスケアは重要である。
  • 産業医は、職場において従業員の安全や健康を守るために専門的観点から事業場に指導や助言などを行い、メンタルヘルスケアにおいても活用できる。
  • 従業員との産業医面談を通じて、メンタルヘルス不調の早期発見につながり、適切な対応が可能となる。

当事業所は、事業場の現状、要望を聞きながら、親切、丁寧に対応します。

今回紹介したメンタルヘルスケア、産業医選任でお困りの企業様は、お気軽にお問い合わせください。